2面に分けて研究の進行状況と成果の概要を説明したい。 1.資料の収集・整理とデータベース化 明治初頭日本における医学、および、初等・中等教育教材を中心に資料の収集とデータの整理を行った。医学教育関連機関の学則・内規、および医学教育・産婆教育、初等・中等教育での人体に関する教科書類、および、これ以外の図引・掛図等の人体に関する資料、人体教育に関する器物資料に関する情報を集め、器物・文献資料総合データベースへ登録すべき資料と項目を整理し、この研究の手段として特化した暫定的なデータベースを作成した。 2.内容の検討・医史学研究の遂行 時代背景の検討を進め、初等・中等教育に関して仮説的な時代区分を設定し検討すべき課題を整理した。初等教育での「人体」に関する教材に関しては、データベース画像を用いて検討を進めている。医学教育に関しては、一時期、解剖学教育において中心的な位置を占めた西洋型人体解剖模型の国産化に関する研究を進めた。九州大学医学部に所蔵されている人体模型に関して、模倣の対象となったフランス製人体模型に見られない局所解剖学的表現から検討を進め、当該時代の日本の医学教育における独特な状況およびニーズと、こうしたニーズを反映した人体模型の全国への配布に関してオリジナルな知見を得て論文にまとめ、解剖学雑誌に発表した。
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