第1回目の研究会は、平成18年12月10日11日に、東京国立博物館文化財部において、東京国立博物館所蔵品の中から以下の3点を選び、直接肉眼観察した。飛雲については、元暦校本万葉集巻第十九(粘葉綴じ、11C後半)羅文については、高光集切(伝源俊頼筆、掛軸装、12C)打雲については、和漢朗詠集(巻下(益田本)、巻子、11C)。調査参加者は、高橋裕次(東京国立博物館)、大川昭典(高知県立紙産業技術センター)、増田勝彦(昭和女子大学)第2回目の研究会は、平成19年3月17日、徳川美術館で、手鑑「鳳凰台」所収 高光集切2点の藍色羅文、元暦校本万葉集の藍色飛雲、六条切の紫色打雲、および重文・重之集の打雲と全面漉き掛け、の調査を行った。調査参加者は、四辻秀紀(徳川美術館)、高橋裕次(東京国立博物館)、大川昭典(高知県立紙産業技術センター)、増田勝彦(昭和女子大学) 羅文生成については、着色繊維を地紙に漉き掛け、水が地紙を通して流れ出し、繊維表面が現れた時、全体に絹紗を掛けて左右を指先で保持し、左右に細かく動かすことで、実現出来ることが分かった。飛雲は、藍染め楮紙と紫染め雁皮紙を切断し、メッシュの目寸法2mm、1mm、0.5mmを通過した紙を、乳鉢と擂り粉木で叩解し、ネリとしてPAM0.02%濃度に分散して、雁皮紙を地紙として漉き掛けて試作した。 上記の通り、現在までに羅文と飛雲文の生成はほぼ実現したが、打雲文、通文の生成が実現出来ていない。なお、成果の一部は、平成18年6月4日開催の文化財保存修復学会第28回大会にて「料紙加飾技法-打雲、飛雲について-」と題して発表した。
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