縄文時代の糸胎・紐胎漆器である"赤い糸・紐"は、糸や紐の製作技術、漆などの膠着材や彩色用赤色顔料などの素材、さらには工程全体に関わる技術体系が高度に具現化されている。その技術内容に関する知見は極めて重要であり、縄文の人々の生活や文化を復元する上で有効な情報が含まれる。本研究は、縄文時代の"赤い糸・紐"について、集成的研究を基礎として、自然科学的手法を取り入れながら検討を進めるものである。平成18年度は、関係資料の実見とその記録化に努めるとともに、微小片試料をもとにして構造や材質など製作技法に関わる調査を進めた。 この間の成果は、下記の内容で公表した。 (1)学会、研究会発表 (1)日本文化財科学会第23回大会(6月17〜18日、東京都) 「飾り弓の材質と技法〜北海道北斗市押上1遺跡の事例から〜」 (2)東アジア文化財保存修復国際会議「専門家会議」(9月24〜25日、宮崎県) 「縄文文化の彩色土器における彩色用材料の所要量」 (2)普及 (1)札幌大学考古学講座"ものの動きから探る先史時代の世界"(10月12日、札幌市) 「縄文文化の漆工芸とその技術」 (3)学術印刷物 (1)「函館市臼尻B遺跡出土漆製品の材質と技法」北海道開拓記念館研究紀要第35号 (2)「函館市臼尻C遺跡出土漆製品の材質と技法」函館市臼尻C遺跡発掘調査報告書 (3)「チョマトー遺跡出土赤彩土器に用いられた彩色材料の材質」帯広市チョマトー遺跡発掘調査報告書
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