縄文時代の糸胎・紐胎漆器である"赤い糸・紐"は、糸や紐の製作技術、漆などの膠着材や彩色用赤色顔料などの素材、さらには工程全体に関わる技術体系が高度に具現化されている。その技術内容に関する知見は極めて重要であり、縄文の人々の生活や文化を復元する上で有効な情報が含まれる。本研究は、縄文時代の"赤い糸・紐"について、集成的研究を基礎として、自然科学的手法を取り入れながら検討を進めるものである。平成19年度は、関係資料の実見とその記録化に努めるとともに、微小片試料をもとにして構造や材質など製作技法に関わる調査を進めた。この間の成果は、下記の内容で公表した。 (1)学会、研究会発表 (1)日本文化財科学会第24回大会(6月2〜3日、奈良市) 「北海道函館市臼尻B遺跡出土漆製品の材質と技法」 (2)2007東アジア文化遺産保存国際シンポジウム(10月31日〜11月2日、韓国ソウル市) 「縄文文化における飾り弓の製作技術」 (2)学術印刷物 (1)「縄文文化の透かし模様入り漆櫛とその技術」『北海道開拓記念館研究紀要第36号』 (2)「帯広市大正8遺跡から出土した赤色遺物の材質的検討」『帯広・大正遺跡群3』 (3)「天寧1遺跡から出土した漆器の材質と技法」『釧路町天寧1遺跡』 (4)「函館市桔梗2遺跡から出土した赤色顔料の材質」『函館市桔梗2遺跡』
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