1.国内外の文化財防災に関する事例調査:文化財防災や文化財データベース構築に関する国内外の事例について、関連のシンポジウムへの参加および現地での聞き取りによる調査を行った。本研究での空間情報データベース構築においても課題となった点であるが、データベース構築にあたっては、所在地情報や所有者の情報など、セキュリティとプライバシーの問題を解決するためのしくみが必要とされていた。また、想定される利用対象者を特定することや、地域特有の災害に着目することなども、データベース改善のための課題として挙げられた。 2.成果の活用:これまでに作成したデータベースを用いて、2008(平成20)年に発生した宮城・岩手内陸地震の各地の震度と、文化財空間情報データベースとの連携により、被害のおそれのある文化財を抽出することで、データベースの活用の可能性を示した。 これまでの研究成果については、文化財保存修復学会や関連のシンポジウム(Expert Meeting on Cultural Heritane in Asia and the Pacific "Restoration and conservation of immovable heritage damaged by natural disasters"、第3回文化遺産防災サミットなど)で発表するとともに、研究誌『京都歴史災害研究』で報告した。
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