研究概要 |
地域学習のための教材を開発するために,大阪市平野区を対象とした野外調査と大阪教育大学附属平野中学校における授業実践を行った.野外調査では,小中学生でも容易に識別できるものとして,自動販売機,公衆電話,郵便ポスト,路傍祠をとりあげ,大阪府大阪市平野区においてそれらの分布図を作成した.その結果,平野区においては,自動販売機,公衆電話,郵便ポスト,路傍祠が,それぞれ2993,221,105,86箇所あることがあきらかになった.自動販売機は,駅の周辺や工業地域に集中するという分布の特徴がみられ,また,郵便ポストは,ほぼ均等に分布すること,公衆電話はそれらの中間的な分布の特徴を示した.このような分布の特徴は,これらの事象を野外で調査し現在の土地利用図と重ね合わせることによって,土地利用とそれに関する事象の理解を深めるのに適切な教材になり得ることを示唆する.一方,路傍祠の分布は,1908年の地形図に示された集落の分布とおおむね一致することが分かった.このような分布の特徴は,路傍祠を野外で調査し過去の土地利用図と重ね合わせることによって,土地利用の変遷とそれに関する事象の理解を深めるのに適切な教材になり得ることを示唆する. 授業実践では,大阪教育大学附属平野中学校において,自動販売機を対象とした地域学習を行った.授業での野外調査によって,自動販売機の分布をメーカや商品別に分析し,また,人通りの調査結果と重ね合わせることによって,自動販売機の分布から町の特徴を知ることが出来ることが分かった.
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