研究概要 |
多様な歴史的街並みが生きている関西地域において、歴史的景観を保全、復元、活用することを社会の要請と捉え、歴史的景観の保全と復元のために、各種の空間データを効果的に活用した分析・表現手法の開発を行うことを日的とする。GISとCAD/CGの両技術に加えて、RS(リモートセンシング)やGPS(汎地球測位システム)の技術を統合したシステムを構築し、またDMデータや航空機レーザ測量データ、さらには衛星画像といった多種多様な空間データを融合させることで各データのポテンシャルを引き出し、さまざまな観点から歴史的景観を分析・表現することにしている。今年度は、高槻城と城下について地物モデルの高度化を図ると共に、添景の拡充を進めた。その成果をもとに「高槻城3D映像」CGアニメーションを改訂し、市のホームページから発信している。 さらに高槻市とは淀川を挟んで左岸に位置する枚方市でも、歴史を活かした魅力ある街並みの形成を日指して「街なみ環境整備事業」が展開されている枚方宿地区を対象に歴史的街並みの変遷を分析・表現している。具体的には、1985年の建造物調査報告書や2001年の調査などをもとに過去を再現し、現状の街並みとの対比を行っている。なお、現状と過去の3次元都市空間モデルの構築には、既存の数値地図2500(空間データ基盤)や大阪府1/2,500ベクトル地図データのほか、国土交通省近畿地方整備局より淀川水系レーザ計測のDSMデータの提供を受けている。また、枚方宿地区は旧街道沿いに展開される典型的な街路景観であり、現状の街路空間を対象とした色彩分析を行うと共に、屋外広告物の影響分析などへも展開中である。
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