新しく発表された「メッシュ気候値2000」によって、日本全土を覆う積雪気候値が得られるようになり、それを利用して日本の積雪地域の全部を覆う雪質分布地図を作成した。作成過程では、雪質区分の一つである「しもざらめ雪地域」の定義を再検討し、観測データを基に、気候的な意味付けを明確にした同地域の再定義を行った。また、日本の積雪地域の観測値をもとに、積雪深、気温、降水量間の関係を調べ、温暖積雪地域における気温と降水量で決まる積雪上限の存在など、これら要素間の量的関係を明らかにした。同時に、本量的関係はここで行った積雪の質に基づいた気候区分という質的側面とも密接に関係することも明らかになった。さらに、1990年と2000年二つの平年値の違いをもとに、近年の温暖な気候変化に対する日本の積雪地域の応答について調べ、その特徴を明らかにした。その中では、温暖多雪地域に顕著な積雪深の減少傾向があること、それは先の量的関係の反映であること、したがってこの地域の積雪の減少量は気温と降水量の変動量から推定可能であることなどが明らかになった。
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