研究概要 |
本研究の目的は、テフラ(火山灰)が乏しい地域の地形・地層の絶対年代決定の手法を確立することである。そのために四国南東部の最終間氷期(約13万年前,酸素同位体ステージ5e)とされる段丘を研究対象として,さまざまな年代測定法、'化学分析、微化石分析を複合して、段丘の絶対年代を決定する。 平成18年度の研究実績の概要は以下の通りである. 1.段丘地形の分布の把握:地形図,空中写真の判読により,高知県安芸市から室戸市にかけての海成段丘の分布を把握した. 2.ボーリング資料収集:安芸市から室戸市にかけてのボーリング資料を収集した. 3.野外調査:安田町,田野町の海成段丘堆積物を記載した.また,酸素同位体ステージ6〜5eと思われる細粒な堆積物の分布を把握した.ボーリング掘削の用地交渉を行った. 4.ボーリング掘削:田野町大野のステージ5eとされる段丘上で,ボーリング掘削を行った.それは,下位の段丘による削剥を避けるために,最も上位段丘の堆積物から連続的にステージ6までの堆積物を得ることを目標にした.しかし,ステージ5eの段丘堆積物は予想に反して層厚20m以上と厚く,さらにその直下で基盤岩に到達したために,主な目的であるステージ6〜5eの細粒な堆積物は得られなかった. 5.ボーリングコア処理:ボーリングコアの層相記載,写真撮影を行った. 6.追加野外調査:ステージ5eより新しい下位の段丘上でも,確実にステージ6〜5eの細粒な堆積物を採取できる地点を選定し,平成19年度に行うボーリング掘削の用地交渉を行った. 以上の研究実績から,田野町周辺のステージ5eの段丘堆積物は層厚20 m以上と厚いこと,段丘の下の埋没谷はかなり急な壁を持っており,幅が狭いことが明らかになった.その結果を踏まえて,平成19年度には別の2地点でステージ6〜5eの細粒な堆積物をボーリング掘削により採取する予定である.
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