研究課題
動脈硬化症の危険性を高める要素の一つにメタボリック症候群があり、肥満に認められる肥大化した脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの作用による炎症細胞の活性化と血管や脂肪組織の損傷を伴う慢性炎症が重要な役割を果たしている。昨年度、HL-60細胞を好中球様細胞に分化させ、フォルボールエステルで活性化すると、オゾン酸化に特徴的なコレステロール酸化物atheronal-Bが生成することを明らかにし、活性化した好中球様細胞がオゾンを発生している可能性を示唆した。そこでatheronal-A,-Bをdansyl hydrazineで誘導体化し、HPLC-蛍光検出器またはHPLC-質量分析計で検出する高感度分析法を開発し、HL-60細胞によるatheronal-B生成機構解明の研究に応用した。atherona1-Bの生成増加は、HL-60細胞をマクロファージや好酸球様に分化した場合には見られず、好中球様細胞に分化した後、フォルボールエステルで活性化した場合にのみ観察された。さらに、スーパオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、アジ化ナトリウム(ミエロパーオキシダーゼ阻害剤)の存在下ではatheronal-Bの生成には影響が認められず、オゾン酸化の阻害剤であるvinylbenzoic acidの存在下でのみatherona1-Bの生成の阻害が見られた。このことから、活性化した好中球様細胞によるatheronal-Bの生成には、スーパオキシド、過酸化水素、次亜塩素酸ではなくオゾンの関与することが強く示唆された。現在、自然発症糖尿病ラットの各種臓器やヒト血清中のatheronal-A,-Bの分析を行い、メタボリック症候群のマーカーとして有効かどうか検討中である。
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