研究課題
基盤研究(C)
動脈硬化症の危険性を高める要素の一つにメタボリック症候群があり、肥満に認められる肥大化した脂肪細胞力ら分泌されるアディポサイトカインの作用による炎症細胞の活性化と血管や脂肪組織の損傷を伴う慢性炎症が重要な役割を果たしている。炎症部位では、様々な活性酸素種が生成され、生体の防御反応に役立っているが、一方、正常な組織に障害を起こし、動脈硬化症やがんなど様々な疾病の原因ともなり得る。最近、ヒト好中球が炎症部位においてオゾン様活性酸素を生成するという報告が出たが、その生成機構等については未だ不明である。そこで、本研究では、オゾンがコレステロールを酸化し特異的に生成するatheronal-Aおよびatheronal-Bをバイオマーカーとして、ヒト炎症細胞がオゾン様活性酸素を生成するかどうか、生化学的手法により確立することを目的として、atheronal類の(1)合成、(2)蛍光誘導体化試薬であるdansyl hydrazineを用いた分析法の確立、(3)ヒト炎症細胞(HL-60)による生成(オゾン発生)機構の解明、(4)生物活性、特にアポプトーシス誘導能、(5)糖尿病誘発ラットの組織(肝臓、脂肪組織など)での検出、などの研究を行った。今回開発した蛍光分析法は、従来の分析法よも約千倍高感度であり、fmolレベルでの定量分析が可能である。この方法を用いて、フォルボールエステルにより活性化した好中球様分化HL60細胞が、活性化していない細胞に比べて、atheronal類をより大量に生成することを明らかにした。この生成はオゾン酸化を阻害する化合物によってのみ特異的に抑制されることから、細胞によるオゾン産生の関与が強く示唆された。また、atheronal類は強い細胞毒性誘導能を示し、さらに、糖尿病ラットの肝臓から、正常ラットより高濃度のatheronal類が検出されたことから、メタボリック症候群の新規バイオマーカーになり得る可能性が示唆された。
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