研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的1としての"頻発する大規模森林火災の実態解明"を行った。この結果、北方林では、近年の気候変動により、夏季の降水量低下で、森林火災が発生しやすい状態となっていることを明らかにした。サハ共和国と米国アラスカ州で大火災を過去半世紀の気象と火災データを詳細に調べ、実態を解明した。この結果、1990年以降の気候変動による森林火災への影響は顕著であった。米国アラスカ州では、1956-1989年と1990年以降の1990-2005年を比べると、火災件数は120件程度増加、焼損面積は2.3倍になっている事がわかった。サハ共和国では、1955-1989年と1990年以降の1990-2005年を比べると、火災件数は92件程度増加、焼損面積は1.9倍になっている事がわかった。この結果、近年の急激な気候変動下で両地域の北方林(タイガ)が危機的な状況であることを明らとした。また、サハ共和国とアラスカ州では主に気温が、サハ共和国では主に降雨量が、森林火災の挙動を支配していることも明らかとした。本研究の目的2としての"ホットスポットを使った火災挙動把握手法の開発"の方は、既にアラスカの大規模火災で基本的な開発は済んでいる。このため、アラスカやシベリアなど広大な森林地帯で発生する森林火災挙動の把握は、航空機や現地観測による手法と比べ精度や信頼性は悪いものの、衛星で検知されたホットスポットを使う手法の方が、火災挙動の大まかな把握には簡便で便利である事は明白で、平成19年度に本手法を、サハ共和国とアラスカ州の北方林ばかりでなく、インドネシアなどの熱帯林の特に、泥炭火災へ適用し、その有効性を実証する予定でいる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
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平成18年度日本火災学会研究発表会概要集
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