研究概要 |
頻発する大規模森林火災の実態解明のための現地調査を、米国アラスカ州、ロシア・サハ共和国、モンゴル、インドネシア・カリマンタン島で行うと共に、火災、衛星データ(ホットスポット)、気象データを分析した。この結果、(1)ホットスポットを使った火災挙動把握手法を2004年に米国アラスカ州フェアバンクス近郊で発生した、Boundary Fireに適応した結果、火災挙動や焼損面積の把握が十分に行える事がわかった。ホットスポットを使う火災挙動の把握は簡便で便利で、航空機主体の肉眼による現地調査よりは場合によっては正確であることが分かった。(2)北方林での過去半世紀の火災気象を分析した結果、アラスカでは6月の気温が、サハ共和国では6月の雨量が重要な因子であることを示した。これは、アラスカでは雷による着火が重要であるため雷の活動を左右する気温が重要で、一方、サハでは森林の乾燥度合いが火災の拡大には重要であるためである。(3)ロシア・タイガの南端を有するモンゴルの森林、火災は、夏場の雨量に強く左右され、夏の日照りが発生した時に9,10月に発生することがわかった。また、春先の火災は主にステップ火災で冬季間の雨量が極端に少ないので、春先の雪解け時期の頃から火災が始まることがわかった。(4)インドネシア・カリマンタン島での泥炭火災を検討した結果、エルニーニョ現象に伴い発生する日照り重要な因子であることがわかった。海水温の異常が僅かでもプラス側になると日照りが発生するので、公式なエルニーニョ発生宣言に拘わらず、海水温の監視が必要であることがわかった。なお、アラスカではアラスカ大学・アラスカ森林火災局と、ヤクーツクでは永久凍土研究所、生物研究所と、モンゴルではモンゴル国立大学、モンゴル国立リモートセンシング・センターと、カリマンタンではパランカラヤ大学との国際情報交換による研究を行った。
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