研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は雲下洗浄過程における降雨の化学組成の変化を実測することである。今年度は3年の研究期間の初年度にあたることから、試料採取地点の確保と試料採取を開始することに主眼をおいて研究を行った。峨媚山に降雨採取地点をもうけて試料採取を行うとともに、峨媚山周辺域など四川盆地内の各所で降雨や河川水・地下水の採取を行ってきた。試料を相互に比較することで、大気汚染物質がどの様にして降雨に取り込まれていくのかを検討している。この結果、高度が下がるにつれて降雨に含まれている硫酸イオンや硝酸イオン等の濃度が増加することが明らかとなった。そこで、雨滴と落下高度との関係を数式化する試みを行っているところである。また、雲下洗浄過程で降雨に取り込まれるエアロゾルの動態を明らかにするため、成都市にハイボリュームエアサンプラーを設置して試料採取を開始した。ハイボリュームエアサンプラーと同じ場所に設置されているアンダーセンサンプラーによって粒径毎の試料採取も始めたところである。分析は19年度に行う予定である。また、分別過程を検討するため降雨の水素・酸素同位体比を、大気汚染物質の動態を明らかにするためイオウ同位体比の測定を行っている。現在は、分析結果について解析を行っているところである。なお、本研究の一部について、2000年12月15日の朝日新聞国際面で"楽山大仏酸性雨で「黒い涙」四川省"、2007年2月14日のAsahi.com(English Edition)で"Acidrain slowly taking its toll on ancient Buddha."と報道された。
すべて 2007 2006
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月刊・海洋 号外46
ページ: 140-148
Geochemical Journal 40・1
ページ: 103-119
Geochemical Journal 40・4
ページ: 309-332
雪氷 68・5
ページ: 497-504