研究概要 |
本学の野外実験試験地(FM多摩丘陵)において大気からの窒素化合物の湿性沈着、乾性沈着を評価するために降水試料の捕集、降水量の空間変動の測定等を行った。 5台の転倒マス型雨量計を5m間隔で十文字状に設置し降水量の空間代表性を評価した。各測器の値は3%以内で一致した。FM多摩丘陵での長期的な降水量観測の空間代表性もこの程度であると判断した。 湿性沈着ではFM多摩丘陵での測定値だけでなく、周辺にある東京都による3つの調査地点、多摩、福生、檜原でのデータを加え、時間変動と空間変動を解析した。いずれの地点でもNO_<3->とNH_<4+>濃度の経年変化において有意なトレンドは認められなかった。FM多摩丘陵でのNO_<3->とNH_<4+>濃度の降水量加重月平均値は42.8,38.2μmolL-1で東京都の3地点での値よりそれぞれ1.6-1.9倍、1.5-2.1倍高かった。特にNO_<3->濃度は多摩での値よりも高かったが、最近のNOなどの集中観測により多摩丘陵ではNOが夜間にゼロになりオゾンとNO_2の反応が促進されN_2O_5を経た硝酸生成の寄与の可能性が出てきた。 FM多摩丘陵のNO_<3->とNH_<4+>濃度および沈着量は日本全域と比較しても高いレベルにあり、特にNO_<3->とNH_<4+>濃度は上位10%にあり、沈着量も上位30%に入っていた。 なお、乾性沈着に関する観測を行うため森林内に12mの観測タワーの設置し、予備的な観測に供したが、安全性をいっそう確実なものにするための改良を行っている。この改良は当初の予定より大幅に遅れたが、このほど完成し観測を実施中である。
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