研究課題/領域番号 |
18510011
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
石松 惇 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 教授 (00184565)
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研究分担者 |
栗原 晴子 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, プロジェクト研究員 (40397568)
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キーワード | 海洋酸性化 / 二酸化炭素 / 慢性影響 / 海洋生態 / 気候変動 |
研究概要 |
コペポーダの1種(Acartia tsuensis)を3世代、高CO_2環境下(PCO_2 2380μatm)で飼育した。第1世代の個体(現在のCO2環境(380μatm)で飼育した個体を2380μatm環境に移して飼育した個体)、およびCO_2環境下で得た卵から発育した第2・第3世代の、生残、体サイズ、発育速度を対照区の値と比較したところ、これらのパラメータには有意差が見られなかった。また、第1〜3世代を通して卵生産および孵化率にも影響がなかった。これらの結果は、コペポーダが他の海産無脊椎動物に比して、CO_2耐性が非常に高いことを示唆している。CO_2(2000μatm)条件下で発生させたムラサキイガイ(Aytilus galloprovincialis)は、原腸胚期までは対照区の個体と発生に違いが見られなかったものの、幼殻の生成が始まる担輪子幼生期に至って発生速度の遅延が見られた。CO_2区の担輪子は全ての個体が形態異常を呈していた。また殻長および殻高も対照区の個体と比較して有意に小さかった。これらの結果は平成17年度に行ったマガキ(Crassostrea gigas)に関する結果と比べると、ムラサキイガイの方がCO_2耐性が高いものの、幼殻の形成にCO_2が強く影響を与えた点では類似している。これらの結果は、将来のCO_2濃度が及ぼす海洋酸性化が海産二枚貝類の初期発生に強い負の影響を与えることを示している。
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