半乾燥地に生育する草本植物は、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、呼吸によって放出するという炭素交換を行っているが、こうしたプロセスが気温や湿度といった環境条件の変化にどのように応答するのか、明らかにすることを目的として、鳥取大学乾燥地研究センターの人工環境制御実験装置(グロースチャンバー)を用いて、植物-大気間の二酸化炭素交換速度の測定を実施した。環境制御装置を用いた実験では、植物を植えたサンプルを制御装置内に設置し、気温15℃〜35℃、相対湿度20%〜80%、照度0ルクス〜80000ルクスという条件を複数通りに組み合わせ、様々な環境条件下において、二酸化炭素交換速度の測定を行った。 また、2004年度から2006年度にかけて、モンゴルでの現地観測で得たデータを基に、植物-大気間の二酸化炭素交換(光合成と呼吸)と環境要素(気温・飽差・光合成有効放射量・地温・土壌水分量・地上部バイオマス)との関係について解析を行った。その結果、地上部バイオマスで基準化した総光合成速度は、植物の成長段階に依らず、一つの光-光合成曲線で表現できることが示され、またこの関係に気温・飽差・土壌水分が与える影響をそれぞれ独立に評価することができた。さらに生態系呼吸速度と地温・土壌水分との関係を二変数関数で定量的に表すことができた。これらの結果は、Agricultural and Forest Meteorologyに投稿し、掲載が決定した。
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