研究課題
基盤研究(C)
富山市の呉羽丘陵の森林土壌では重度の窒素飽和状態に陥っていることが判明している。森林土壌の窒素飽和は、降雨などによる大気からの窒素化合物の沈着量が、森林における窒素の必要量を上回る状態が継続することにより引起される。また、森林土壌の窒素飽和化に伴う新たな問題として、硝化・脱窒反応が活性化することによる地球温暖化ガスとしての亜酸化窒素(N20)の生成促進プロセスの存在が実証されていることから、本研究ではN_20の発生に関わる微生物群集構造をPCR-DGGE法を用いて解析することを目的とした。当初、呉羽丘陵の土壌を含む、多数の土壌を対象に、土壌から直接DNAを抽出し、硝化菌のうちアンモニア酸化細菌(AOB)の16S-rDNAをターゲットとするプライマーを用いてPCR-DGGEを行ったが、DGGEのゲル上にはバンドが検出できなかった。硝化菌数が少ないことが原因として考えられたため、呉羽丘陵の土壌をカラムに採取し、カラムの上部から塩化アンモニウム溶液を滴下する手法を用いて培養し、硝化菌数を増加させることを試みた。713日にわたる培養の結果、硝化活性は培養当初の約40倍に高めることができた。硝化により生成する硝酸イオンによってpHは3.1にまで低下したが、硝化活性は低下せず、この培養によっても呉羽丘陵の菌の特性は保持したままであった。この培養土壌を用いてPCR-DGGE法を実施した結果、DGGEのゲル上に2本のバンドが現れた。それぞれの塩基配列を解析し、データベースBLASTで検索した結果、98%の相同性で、Nitrosospira sp.であることが判明した。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
富山県立大学紀要 18巻
ページ: 91-96
Bulletin of Toyama Prefectural University Vol.18
The 2nd international forum on ecotechnology, (Vildbjerg, Denmark) No.62
Journal of Ecotechnology Research Vol.13,No.2
ページ: 123-126
Journal of Ecotechnology Research Vol.13