研究概要 |
平成19年度研究では,前年度研究で作成した沿道汚染高解像度シミュレータの基本モデルを用いて一連の数値実験を行い、道路内に生じる気流の乱れ(VIT)、および、それが排気ガス拡散に与える影響を調べた。具体的には、乗用車および大型車が直線道路を片側通行あるいは対面通行する場合について、瞬間速度場と瞬間濃度場を再現し、それを時空間平均することにより、路面を含む平均場の流速・乱流強度・乱流エネルギーの各分布求めた。また、横風風速が変化した場合について汚染質の拡散計算を行い、道路内および風下側における濃度拡散幅に与える影響を調べた。主な知見は以下の通りである。 流れ場の特徴として、横風がない場合、道路内部に生じる平均流速は比較的弱いこと、車両通過域の変動風速標準偏差は平均風速の2倍程度大きいこと、対面通行時のセンターライン付近では片側通行時には見られない上昇流が生じることがわかった。また、横風がある場合は、車両走行によって生じる後曳き渦の中心が風上側に移動すること、車両通過域の風上側で乱れは急激に減少すること、乱れのピーク値は車線数や横風の大きさにあまり依存しないことが示された。濃度場については、テールパイプの極く近傍を除き平均濃度は高さと共にほぼ単調に減少すること、横風風下方向の排ガス拡散幅は片側通行時と対面通行時であまり違わないこと、初期拡散輻の大きさは横風の風速に依存することが明らかになった。 本研究で明らかになった流れ場の特徴はVITをモデル化する際の指針となる。また、濃度場の特徴は、今後開発するRANSモデルでシミュレートされるべき道路上の拡散状態と見なすことができる。
|