沿岸帯における植生構造は本来、河川の氾濫など不定期な攪乱により維持されてきた。一方で人間生活の安全と快適のためになされた治水・利水や水資源管理の代償として、自然撹乱は減少、植生遷移が進行し、ヨシ原を始めとした沿岸固有の生態系は衰退しつつある。本研究では、現在の水位管理されたヨシ原生態系においては、(1)地盤高や澪筋、岬や湾、といった沿岸微地形の特徴が沿岸における水供給に大きな影響を及ぼし、(2)それが現在の沿岸ヨシ群落の維持とその生態系機能を決定する大きな要因になっている、という二つの仮説をたて、それらを主に霞ヶ浦沿岸帯における野外モニタリングと実験圃場における実証実験によって明らかにすることを試みている。
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