研究概要 |
本研究の目的である、内湾における養殖マガキの有する、内湾表中層の環境浄化と底層への沈降粒子負荷という両面の機能を評価するために、下記の調査を実施し、成果の一部を学会で公表した。 本年度(〜平成19年3月31日)の研究実施計画に従って、長崎県形上湾および観測可能な内湾において、実測データを収集した。平成18年4月、7月、9月、11月、平成19年2月に計5回の現場調査を長崎県形上湾で実施して、1)養殖マガキの成長データ(殻長、湿重、乾重)、2)環境データ(水温、塩分、溶存酸素、クロロフィル、懸濁物、栄養塩類)、3)沈降粒子フラックスデータ(沈降粒子の乾重と炭素・窒素組成の元素分析)を収集した。また、比較するために、平成19年2月には、佐賀県唐津湾と福岡県博多湾でも同様の調査を開始した。 これらのデータを季節毎に収集して、形上湾について1ヵ年分のデータファイルを作成した。さらに、本年度のデータと従来のデータを集計し、水中の懸濁物と沈降粒子の炭素・窒素組成の特徴について、総合的な取りまとめに着手した。また、マガキ成長モデルを適用して、マガキ成長に伴う沈降粒子フラックスの季節変動をシミュレーションすることによって、養殖マガキによる有機物(炭素・窒素)の環境浄化量と沈降粒子フラックスについて季節変動を含めて評価するための、パラメタや計算の準備を実施した。 なお、本年度は下記の学会発表を実施し、本研究に一部関連した論文(11.研究発表を参照)を発表した。 ・早川康博・松本和剛(水大校)・小林雅人(横浜商大):「長崎県形上湾における養殖マガキ沈降粒子フラックスと懸濁物質及びクロロフィル」、2007年度日本水産学会春季大会講演要旨集.p.236,2007年3月(東京海洋大・東京)
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