研究概要 |
一般に水溶液中の銅イオンはpHが高くなると減少する.今回,銅コーティング試料0.1%および0.5%溶液では溶出した銅濃度に差は見られたが,各pHでの時間経過に伴って溶出した銅濃度にほとんど差は見られなかった. 銅イオンによる栄養体およびシスト体のアメーバ内のレジオネラに対する殺菌効果の検討を行った.その結果,栄養体では3時間暴露実験で,銅イオン濃度が1mg/Lでは殺菌効果は認められなかったが5mg/Lでは76%,10mg/Lでは95%が殺菌された.またシスト体では銅イオン濃度が1mg/Lでは殺菌効果は認められなかったが5mg/Lでは85%,10mg/Lでは94%が殺菌された.一方,アメーバそのものに対しては1mg/Lまではその生存率に変化は認められなかったが,5mg/Lで74%,10mg/Lでは47%の生存率であった.今回の実験結果から銅イオン濃度10mg/Lでは,接触時聞を長く設定することで,アメーバおよびアメーバ内のレジオネラに対し殺菌効果が期待できた.しかし,排水基準(lppm以下)を考えた場合に排水段階での工夫が必要であると考えられた. pH7.2での銅イオン溶液におけるレジオネラに対する殺菌効果の検討では,0.5mg/Lを添加後6時間でレジオネラは完全に殺菌された.一方,銅コーティング試料では,pH6.0,7.4,8.5のそれぞれの溶液および蒸留水,水道水,海水においていずれも0.1%溶液で効果が認められた. 温泉水ではレジオネラに対する殺菌効果に差が見られたが,それは温泉のpHおよび泉質の違いによるものと考えられた.
|