本年度の研究において、次の3点について研究を行った。 1.アメリカのうち最も成功しているのはテキサス州であるので、テキサス州での近年(特に2005年以降)の政策展開、及び、連邦レベルでの生産税控除(Production Tax Credit)についてについて詳しく文献資料調査を行った。テキサス州では、とりわけ風力資源の大きい地域において、風力発電単価が大幅に下がっていることがあきらかになった。また、テキサス州の普及目標も普及ペースに追いつかず、拡大させてきている。 2.ヨーロッパ各国の固定価格制の実施状況、およびEUにおける再生可能エネルギー政策について文献、ヒアリング調査をおこなった。特にドイツでは、再生可能エネルギー法(2004年)のもとで再生可能エネルギー普及の効果がより一層あがるとともに、経済的側面でも利益がもたらされている実態が明らかになった。そのため、新しい再生可能エネルギー法(2009年)ではより一層の目標拡大が行われ、普及制度も効果的なものへ変更されている。こうした制度は、経済団体を含めて受け入れられている。 3.再生可能エネルギー普及政策に関する基礎理論についての研究を行った。RPS、固定価格制、競争入札制の政策上の位置付けと効果の違いについて整理を行った。固定価格制は、RPS制度に比べて普及効果がある他、制度それ自体の終了をも組み込める制度として優れている。 以上、1、〜3、の成果およびこれまでの研究成果は、今年度中にとりまとめ、書籍として出版する予定である。
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