本年度の研究においては、次の3点について研究活動を実施した。 1)アメリカ各州のRPS、ヨーロッパ各国の固定価格買取制の実施状況、およびEUの電力自由化・再生可能エネルギー普及政策に関し、ドイツ及びデンマークにおいて現地調査を行った。特にドイツについては、研究者、電力事業者、系統管理者、政府関係者を中心に詳細なインタビュー調査を実施した。その結果、ドイツにおいては、再生可能電力の普及政策による直接的影響は系統管理者が受けていること、具体的には電気の配分、費用負担の配分に関する影響がでていることが判明した。ドイツにおいては、その影響を緩和するための制度的枠組が形成され、2009年より開始される予定であることがわかった。 2)電力自由化が再生可能エネルギー普及政策に与える影響、EUETSが再生可能エネルギー普及政策に与える諸影響について文献を収集して検討を行った。その結果、EUETSの中に再生可能エネルギー設備への投資を促す制度が組み込まれていることがわかった。 3)1)2)の実証研究を基礎に、再生可能エネルギー普及政策に関する基礎理論について検討し、研究成果をまとめた。具体的には、これまで研究してきた、アメリカで実施されているRPS制度、イギリスで実施されている競争入札制、ドイツで実施されている固定価格制それぞれの理論的考察を行った。また、再生可能エネルギー普及に関する諸政策について整理し、それぞれの理論的意味づけを行った。この内容の一部を書籍にまとめて出版した。
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