研究概要 |
本研究では,財の生産者である企業の活動について検討する.そして,途上国の廃棄物管理の実情に副した財の生産・流通を政策的に誘導するためにはどうすればよいのかを明らかにする.この目的のため,、本研究では容器包装材に着目し,その選択に関するコンセプト・方法論・環境対策などを調査する.具体的には,社会経済状況の異なる幾つかの途上国を対象に,多国籍企業と地場企業の中から飲料水を生産・販売している企業を選定し,(1)独自の容器回収システム,(2)容器の素材選択基準,(3)政府が実施する政策に対して,どのような対応をとるか?といった点を調べる. 以上の目的・計画のもと,平成18年度はネパール国(カトマンズ市)とカンボジア国(プノンペン市)において,10〜20社程度の企業を選定し,訪問・面接調査を実施した.その結果,以下の点が明らかになった. 1)ガラス瓶,金属カン,プラスティック容器に比べると,紙容器を利用している企業は少ない. 2)大多数の企業は,その企業独自の飲料容器回収システムを有し,かつ実際に活用している. 3)途上国とはいえ,両国の企業には環境意識は認められる. 4)ただし,製品開発においては,環境要素の影響は小さい. 5)政府の政策に対する対応については,企業の置かれた立場により異なる. 製品開発に際し市場調査を実施している企業は少なくない.しかし,市民の環境意識は余り高くないためか,環境要素が製品開発に生かされることは少ないようである.このことは,両政府供,企業活動をコントロールする環境政策だけでなく,市民を環境啓発する政策立案が求められることを示していると思われる.
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