本研究課題においては、粒子識別型組織等価比例計数管(PID-TEPC)マイクロドシメトリ装置の開発を行う。一般に、組織等価比例計数管は粒子識別ができず全粒子のエネルギー付与スペエクトルとして測定される。本課題申請者は、放医研HIMACからの炭素線のマイクロドシメトリとして、生成フラグメント粒子ごとのマイクロドシメトリを行ってきた。これまで行ってきた経験をもとに、組織等価型比例計数管(TEPC)とシリコン検出器を併用し、粒子識別を可能とする組織等価比例計数管:PID-TEPCを開発する。本研究で目指す測定システムPID-TEPCは、粒子を識別して線質を評価できるため、放射線治療場で生成される中性子成分の生体組織への影響や宇宙放射線場での中性子成分の被ばく線量評価も行うことが可能となる。 本研究年度においては、Arビーム、Oビーム、SOBP炭素ビーム(パラメータは深さ60mm、径20mm)を用いた試験を行った。Arビーム、Oビームの実験でTEPCの上流と下流に設置した2枚のSSDでは、プラトー領域においては粒子識別が可能であったが、ブラッグピーク近傍では粒子識別できなかった。そこでSOBP炭素ビームの測定では、2枚のSSDでTEPC入射粒子に対する粒子識別を試験した。また、前回TEPC下流に設置し比較的粒子同定可能であったBSCとして、空気ライトガイドシンチを使用した。その結果、最も悪い場合で、He-Li間でLiと同定した55%がHeのテールであり、Liの20%程度がHeと分類されていた。その他の場合では、Li-Be間、またBe-B間では10%以下で分離できており、まずまずの分離が得られることが分かった。
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