研究概要 |
リアルタイムRT-PCR法を用いて、カワウのAHRアイソフォームmRNA量を組織別に解析したところ、AHR1は多くの組織(肝臓・腎臓・心臓・肺・脾臓・精巣/卵巣・脳・小腸)でほぼ同程度に、AHR2は主に肝臓で発現していた。また肝臓中AHR mRNA量の個体別比較から、AHR1とAHR2の発現量の間に有意な関係は認められなかった。また、AHR1 mRNA発現量とTEQ値の間にも有意な関係は認められなかったが、AHR2はTEQ値の上昇に伴い減少した。以上の結果から、各AHRアイソフォームはそれぞれ異なる発現制御を受け、特異的な機能を有していることが示唆された。さらに、AHR2はダイオキシン類の曝露により転写レベルで何らかの負の制御を受けていることが推察された。鳥類AhRが転写活性化能を有するか評価するため、luciferase reporter gene assayをおこなった。14nM TCDD処理によって、AhR1をトランスフェクトした細胞ではluciferase発現量がニワトリAhRと同様に上昇した。一方でAhR2をトランスフェクトした細胞では全く/わずかに上昇した(アホウドリAhR2:8-fold,カワウAhR2:5.0-fold,empty:4.0-fold)。そのluciferase unitsはAhR1よりもはるかに低く、特にカワウAhR2においてはAhRを介した反応の結果かどうか、確認が必要である。しかしながら、鳥類AhR2の転写活性化能はAhR1よりも低いと推察される。
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