研究課題/領域番号 |
18510059
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
金 恩英 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 客員准教授 (70419513)
|
研究分担者 |
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
|
キーワード | AHR / 感受性 / 核内受容体 / 鳥類 / ダイオキシン類 / 有機塩素化合物 / リスク評価 |
研究概要 |
本申請は有機ハロゲン化合物・芳香族炭化水素の鳥類に対する潜在的な感受性およびリスクを評価するため、鳥類AHRアイソフォーム(AHR1・AHE2)について機能解析することを目的とした。今年度は前年度構築したレポーター遺伝子発現系を用い、AHRアイソフォームを介した各化学物質の転写活性化能の測定・比較を行った。まず、ニワトリやハシブトガラスAHR1・AHR2を用いて、代表的なダイオキシン類化合物であるTCDD、TCDF、PeCDD、PeCDFの4異性体と3種のPCB異性体(PCB126、169、118)の濃度依存的な応答性を確認した。その後、用量応答性が見られた異性体に関しては各AHRのEC_<50>値を算出した。その結果、すべでの鳥類AHR1でダイオキシン類濃度依存的な応答が見られ、さらに、ニワトリAHR1(EC_<50>0.0086-0.024nM)の方がハシブトガラスAHR1(EC_<50>0.095-0.87nM)よりも敏感に応答していることが分かった。一方、AHR2に関しては、ニワトリAHR2はすべての化合物に対して応答性が見られなかったものの、ハシブトガラスAHR2では用量応答性がみられ、種によってAHR2の機能性が大きく異なっていることが示唆された。また、ハシブトガラスAHR2のリガンドプロフヤイルはAHR1とは異なり、TCDD、TCDFよりもPeCDD、PeCDFに敏感に応答することが分かった。PCB異性体については、ニワトリやハシブトガラスAHR1・AHR2のすべてのアイソフォームでダイオキシン類化合物よりも低い応答性がみられた。本研究の結果より、鳥類AHRのリガンド選択性や応答性には明確な種差やアイソフォーム特異性があり、AHRの機能特性の解明が有機塩素化合物や芳香族炭化水素に対する生物種固有のリスクや影響を評価するために重要であると考えられた。
|