キーワード | 1H,1H,2H,2H-perfluorodecanol / perfluorooctanoic acid / 代謝 / 生体内蓄積 / 細胞内分布 / 2H,2H-perfluorodecanoic acid / 2H,2H,3H,3H-perfluorodecanoic acid / 生体作用 |
研究概要 |
撥水・撥油剤などとして利用されている1H,1H,2H,2H-perfluorodecanol (8-2FTOH) は、環境中あるいは生体内で分解され、安定な化合物であるperfluorooctanoic acid (PFOA) となり、蓄積することが予想されている。本研究では、8-2FTOHの生体内運命と生体内作用について明らかにすることを目的とした。8-2FTOHは生体内ではほとんど未変化体としては存在しないこと、PFOA の生成には酸化過程が関与することを明らかにした。また、生体内で生成したPFOA のみでは、8-2FTOHの生体作用を十分に説明できないことから、一部の中間代謝物にも生体への影響を示すものがあることが推察された。1H,1H,2H,2H-perfluorodecanol (8-2 acid) は中間代謝物の1つと考えられるが、PFOA よりも毒性が強いことが示唆された。次に、生体内で生じた微量のPFOA について、その分布を詳細に検討したところ、生成したPFOA 量が少ないほど肝臓に蓄積しやすいこと、肝細胞内では膜画分に分布しやすいことが明らかになった。以上の結果から、8-2FTOHを摂取すると、速やかに代謝され、ごく少量のPFOA が生体内に生じるが、このような場合、肝臓の膜画分に選択的に蓄積するものと考えられる。
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