研究概要 |
ジメチルエーテル(DME)はセタン価が高いのでディーゼルエンジン燃料に適しており,そのうえ燃焼時に黒煙を発生しない特長があるので分散型発電,低公害自動車等への利用が期待されている.本研究ではDMEを燃料とする大型ディーゼルエンジン用新規脱硝触媒を開発する事を目的とし,本年度はDME-SCRの基礎技術を検討した。 1.DME-SCR用模擬ガスにおける無触媒反応 DMEは含酸素化合物なので無触媒燃焼(熱分解)を起こしやすいと予想される。NO(500ppm)+O_2(13%)+DME(2000ppm)+H_2O(10%)の模擬ガスを用い実験した結果,DMEは350℃で75%が他の物質に転化していることがわかった。これは炭化水素(HC)のそれよりも300℃も低温であった。 2.DME-SCR触媒の設計 種々の金属酸化物触媒のDME-SCR活性を調べたところ,アルミナが最も高い活性を示すことがわかった。HC-SCRではアルミナのN_2生成活性がその調製方法によって著しく異なり,金属を添加したのちにもその特徴が反映される。そこで種々のアルミナ触媒のDME-SCR活性を比較した結果,不純物の少ないアルミナが高い活性を示すこと,Naが含まれると活性が著しく低下すること,が明らかになった。 貴金属担持アルミナ触媒ではRhを担持したものがアルミナより高い活性を示し、Pt, Pdでは活性は低下した。卑金属ではFe, Co, Zn, Ceを担持したものがアルミナより高い活性を示した。 3.主要な反応経路 HC-SCRではNOよりもNO_2の方がN_2に還元されやすかった.そこでDME-SCRについても同様の検討を行った結果,HC-SCRより顕著ではないが同様の傾向を示し,NOのNO_2への酸化反応がDME-SCRにとって必須な要素反応となっていることがわかった.
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