合成培地で馴養させたメタン生成菌への磁気シーディング法に関する知見を基に、畜産糞尿を投入源とするメタン発酵における磁気力を利用した菌体固定化法について検討した。乳牛糞尿を固液分離および希釈した低SS濃度廃水を投入源とし、シーディング剤としてマグネタイトを添加した上で、菌体固定部材としてマグネットシートを配置したメタン発酵リアクタの運転を行った。マグネットシートの代わりにゴムシートを配置したリアクタと比較したところ、磁気力によるメタン生成菌等の固定化はパイオガスの生成速度の向上に寄与することを確認した、特に、酢酸資化性と考えられる小荷物状のメタン生成菌に対して磁気シーディングの効果が得られやすいことが判明した。メタン生成菌は基質によって菌体形状が大きく異なることを考慮すると、本手法のような磁気力によるメタン生成菌の固定化は、リアクタへの投入材料が大きな支配要因であることが示唆された。
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