研究概要 |
申請者が単離したマンガン酸化真菌KR21-2株が形成したマンガン酸化物は、84%のMn(IV)と16%のMn(II)で構成されていることがXANESの測定により明らかとなった。つまり、KR21-2株によって形成されるMn酸化物は、不溶態Mn(IV)上にMn(II)が吸着している状態であることが確かめられた。Mn酸化酵素の単離に成功し、XANESの測定からMn(IV)が酵素により形成される過程を明らかにすることができた。TEMおよびSEM観測により、形成されたMn酸化物は、薄片上の微細は構造を持つことが明らかとなった。また、単離したMn酸化酵素のゲルろ過-ICP質量分析による活性金属を分析したところ、酵素一分子あたり二分子のCuが検出され、KR21-2株のMn酸化酵素がMulticopper oxidaseであることが明らかとなった。オキソアニオン種であるSb,Mo,Se,Te,V,Cr,W,As,Ge,SnについてKR21-2株の増殖に対する阻害は認められなかった。一方、Teについては、Mnの酸化活性を阻害する傾向が認められた。その他のオキソアニオン種Sb,Mo,Se,V,Cr,W,As,Ge,Sn(20μM)存在下でも、KR21-2株は、初期濃度1mMからMn酸化物の形成が認められた。Mn酸化物への吸着選択性は、W(IV)>V(V)>Mo(VI)>As(V)>Sb(V)>Ge(IV)>Cr(VI)>Se(VI)であり、特にW(V)の高い吸着性が認められた。
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