研究概要 |
モデル油脂基質として米油、メチル化共基質として油脂を溶解する炭酸ジメチル(DMC)をそれぞれ選定して用い、無溶媒、回分反応系で、触媒のリパーゼとして遊離形(粉末)ではPseudomonas cepasia(PCL:現Burkholderia cepacia(BCL : PS-SD)), Penicilium roqueforti(PRL : R), P.camembertii(G), Ps.fluorescens(AK), Achromobacter sp.(AL), Alcaligenes sp, (PL及びQLM), Rhizopus japonicus(RJL), Candida rugosa sp.(CRL)、及びC.antarctica B(CALB)の10種類、そして固定化形ではPS-D(PCL/ケイソウ土>、PLG(PL/粒状ケイソウ土)、PLC(PL/ケイソウ土)、QLG(QLM/粒状ケイソウ土)、及びQLC(QLM/ケイソウ土)の5種類をスクリーニングした。 その結果、バイオディーゼル燃料(BDF)として有用な脂肪酸メチル(FAME)だけの収率をみても、DMC/油脂=35.7mmol/2mmol、40℃又は50℃、48hでQLMとPCLがCALBに近い30%程度の酵素活性を発現し、固定化リパーゼではPLCが約40%の最高の活性を示し、次いでPLG, QLGの順に活性であった。そして、QLM触媒反応系にトリエチルアミンを微量添加した場合、QLM200mg、24h、50℃の反応条件で90.7%ものTAME収率が得られた。生成物分析の結果、遊離グリセリンは存在せず、残りの9.3%はグリセリンのDMC誘導体であることが明らかになった。 トリエチルアミン無添加の場合の約3倍の酵素活性の発現は有機溶媒中でのトリエチルアミン添加によってリッドを解放したQLMリパーゼが油脂トリグリセリド及び初期に逐次的に生成したモノアルキルグリセリン(米油では主としてオレイルエステル)とDMCとのそれぞれの反応を触媒し、3モル目のFAMEを生成したためと考えられる。グリセリン誘導体を含んだままのFAME混合物も、従来のアルカリ触媒メタノリシス法でのFAMBに近いセタン価を有し、そのままBDFとして燃焼可能であることがわかり、また、リパーゼはDEC/油脂及び反応生成物に溶解しないので、本反応法はこのままでもグリセリンを副生しない新規のOne-PotのBDF製造プロセスとなりうるが、更にリッドを開放した状態の固定化リパーゼを調製し、反応条件を最適化して、反応の連続化を検討することにより、より実用性のあるクリーンなバイオプロセスが構築できる。
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