研究概要 |
米油トリグリセリドと炭酸ジメチル(DMC)との反応を触媒して脂肪酸メチルエステル(BDF)を合成できるリパーゼをスクリーニングした.18種類のリパーゼ中でBurkholdelia cepacia起源のリパーゼ(BCL)とAlcaligenes sp.起源のリパーゼPL及びQLMが特に高活性であった.NativeのQLMリパーゼを用いて架橋酵素凝集体(CLEAs)法と多孔性ポリプロピレン粉末のAccurel MP-1000への物理吸着法によって固定化酵素を調製した.CLEAs法ではQLMリパーゼ水溶液をアセトンまたは1,2-ジメトキシエタン(DME)で沈澱させたもの、またジベンゾ-18-クラウン-6共存下で沈澱させ、グルタルアルデヒドで架橋したもの、及びAccurel固定化QLMはNative QLM(粉末状)よりも著しく高活性で、24hですでにBDF収率は定量的(90%)であった.これらの固定化QLMとNative QLMのBDF合成活性と、繰り返し反応の耐性を1回分(米油2.0mmol、DMC35.7mmol、50℃、72h)の反応を同じ触媒で新しい基質で繰り返し行って調べた.Accurel固定化QLMはBDF合成活性の半減期が30,000h(418Runサイクル、1270日、3.5年)と非常に長期にわたって安定であることがわかった.反応後、過剰のDMCを蒸留後、BDF相と分離している下相のグリセリン相は遊離グリセリンではなく、グリセリンとDMCとの反応性生物(グリセリン誘導体)であった.総括として、酵素のコストを別にすると、最も二酸化炭素排出の少ない油脂からのBDF製造法を見い出すことができた.
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