研究概要 |
極めて完全性の高い最密充填型コロイド結晶を作製することを目的に,(1)単分散性の優れたコロイド粒子の合成を行い,(2)自己秩序的粒子配列を行い配列過程のその場観察および作製されたコロイド結晶の結晶性評価を行った. 1.単分散性の優れたコロイド結晶の合成 (1)単分散性評価法の検討 目標としている単分散性1%以下を評価するため,評価手法の検討を行った.その結果,200-300nmの粒子径のコロイド粒子に対しては,走査型電子顕微鏡(SEM)は,測定誤差が1%以上あり評価に適さないこと,透過型電子顕微鏡(TEM)により1%以下の単分散性を評価可能なことを確認した.これにより,最適条件で合成されたポリスチレン(PS)微粒子では,0.9%の単分散性が実現されていることが確認された. (2)単分散性に影響を及ぼす合成パラメータの検討 PS微粒子のソープフリーエマルション重合において,合成温度が単分散性に及ぼす影響を調べたが,温度は合成時間に影響するものの,得られる粒子の粒子径単分散性には影響しなかった. 2.コロイド結晶の作製 (1)ガラスセルにおけるコロイド結晶形成過程のその場観察 粒子濃度を変えて成長速度を制御したコロイド結晶形成を共焦点レーザー顕微鏡にてその場観察し,成長速度によって成長様式が変化し,適度な成長速度のもとで結晶性のよい結晶が成長することを明らかにした. (2)コロイド結晶の結晶性評価 ガラスセル内にて形成されるポリスチレン微粒子のコロイド結晶膜において,溶媒である水蒸発による構造変化を反射スペクトル測定により明らかにした.また,こうした測定により,膜厚方向と面内方向の周期性の違いを明らかにできることを見出した. 2007年度は,レーザーによる欠陥修復についても検討を行い,さらなる高品位コロイド結晶の実現を目指す予定である.
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