研究概要 |
極めて完全性の高い最密充填型コロイド結晶を作製することを目的に,1)単分散性の優れたコロイド粒子の合成,2)自己秩序的粒子配列を行い配列過程のその場観察および作製されたコロイド結晶の結晶性評価,3)レーザー光によるコロイド結晶の欠陥修復のための基礎検討を行った. 結果として,単分散性の高いポリスチレン(PS)微粒子を用いても,乾燥に伴う粒子の収縮のため,完全性の高いコロイド結晶を得ることは困難であった.しかし,次のような成果,知見を得ることができた. 1.単分散性の優れたコロイド粒子の合成 (1)1%以下の単分散性評価には,透過型電子顕微鏡(TEM)画像での粒子径読みとりが有効であった. (2)250-500nmの範囲の粒子径において1%以下の単分散性のPS微粒子を合成することができた. (3)ガラス転移温度120℃以上を有し,世界トップレベルの単分散性の架橋PS微粒子を合成することができた. 2.コロイド結晶の作製 (1)コロイド結晶形成過程を共焦点レーザー顕微鏡観察し,成長速度によって成長様式が変化することを見出した. (2)面内方向と膜厚方向の周期性を計測する新しい構造解析法を見出し,これによりPS微粒子からなるコロイド結晶が収縮により異方性を有することを明らかにした. (3)乾燥に伴い形成されるストライプ構造が双晶構造に起因することを明らかにした. 3.レーザー光によるコロイド結晶の欠陥修復のための基礎検討 最密充填構造を有しているが溶媒が完全に蒸発していない状態のコロイド結晶において,レーザー光の光圧アニールによって結晶中の欠陥修復や意図的欠陥導入が行える可能性を示すことができた.
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