研究課題
酸化還元活性なタンパクは電極と電子授受を行うための部位(酸化還元活性中心)が分子内部に存在する場合が多く、基板上にこれらの酵素分子の向きを制御して固定化していくことが、センシングデバイスとしての機能向上のため重要となる。本研究では酵素分子の配向制御を目指す目的で、まず、酵素分子に遺伝子工学的手法を用いてヒスチジンオリゴマーなどの分子を導入し、これをタグとすることで分子の向きを揃えて電極上に展開することを試みた。ここで用いたL-プロリン脱水素酵素は、色素依存型脱水素酵素であり、4つのサブユニットからなる。酵素反応において基質であるL-プロリンから各サブユニットに含まれるFAD、FMNを通じて電極上に電子伝達の流れの向きがあることが知られており、本酵素を電極上にある一定の向きをそろえて配向固定することで電極及びメディエータを介した電子伝達について電気化学的な応答との相関や、タンパク質のコンフォメーションと電気化学的な応答との相関、安定性について検討を行った。ここでは、これら4つのサブユニットのそれぞれのN末端アミノ酸にヒスチジン6量体を遺伝子レベルで融合導入し、ニトリロ3酢酸部位を持つ化合物を調製し金属と錯体形成させ、電極上へ酵素を配置した。その結果、L-ProDHのαサブユニットを電極側に配向固定した電極が他のサブユニットを電極側に固定化した場合より高い応答を示した。このことから、αsubunitが電極側に位置していると、基質との触媒部位を有するβsubunitが、バルクに位置するため酵素反応の進行がより効率的であることがわかり、酵素分子内の電子の流れと電極上の酵素の配向についての知見を得ることができた。
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Smart Biosensor, G. K. Knopf, ed., Marcell Deckker, NY, pp.(2007)
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http://acbio2.acbio.fukui-u.ac.jp/bioeng/suye/work.htm