本研究では(1)「ZnOナノ粒子形成過程の解明」、(2)「ZnOナノ粒子の高密度励起効果」、(3)「ZnOナノ粒子の粒径制御の試み」の3つの項目を掲げている。19年度は(2)および(3)を中心に、一部(1)の残件を実施した。 (1)「ZnOナノ粒子形成過程の解明」の残件として、昨年度実施した酸素ガス中での熱処理効果の比較として真空中での熱処理効果を測定し、熱酸化効果と純粋な熱効果を分離した。 (2)「ZnOナノ粒子の高密度励起効果」では、当初予定していた液体試料用の窒素レーザー励起蛍光時間分解測定装置では充分な感度がないことが判明し、急遽YAGレーザーとICCD検出器を入手し、光学系を作製し、室温での高密度励起測定を可能とした。高密度状態を反映したsublinearな励起強度依存性が観測された。 (3)「ZnOナノ粒子の粒径制御の試み」では、イオン注入量を変化させることによりナノ粒子の平均粒径が制御できないかを試みた。熱処理前のZnナノ粒子に関しては注入量による粒径制御はある程度可能であるが、注入量LOx10^<17> ions/cm^2以上では飽和が起こる。また、0.20x10^<17> ions/cm^2以下では確認が困難であり、実用的な制御範囲は狭い。熱酸化後のZnOナノ粒子においては、低準入量ではZn2SiO4相が選択的に形成され、ZnOナノ粒子の形成効率が低下することが分かった。
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