1つが有機金属ガスでもう1つが酸素や水蒸気などのガスを導入して形成されるナノ構造について調べた。Fe(CO)5の場合は、酸素よりもむしろ水蒸気の同時導入によって容易に酸化鉄ナノ構造が得られることが明らかとなった。酸化鉄は単結晶もしくは多結晶でFe304であることが明らかとなった。また、有機成分(炭素)をほとんどゼロにすることができることも確認できた。水蒸気の効果はそれ以外のたとえばW(CO)6でも試されたが、Feほど結晶性は向上せず、有機物の含有も多かった。これらのことから、水蒸気は単なる酸素源として働いているわけではなく、例えば触媒効果のようにFeとH20の組み合わせが重要であると推察された。また、Fe(CO)5と((CH_3)_3(C_5H_5)Pt)の混合ガスをうまく分圧比を調整することによってFeとPtがちょうど1:1の比率で含有するナノロッドを創製することができた。できた状態は非晶質炭素母相の中にFeやPtが入り混じった状態のものが形成されたが、これを600℃でアニールすることにより、ナノロッドはややグラファイト状のものに合金ナノ結晶粒子が鎖状に連なったような形態のナノゴッドに変化した。高分解能透過型電子顕微鏡法(HRTEM)および電子線回折による解析の結果、合金ナノ結晶粒子の相はHO型のFePtであることが明らかとなった。電子線ホログラフィーを用いてそのナノロッドの残留磁束密度を測定した結果、上記Fe含有ナノロッドの2-3倍の値を示し、FePt合金によって高保持力ナノ構造が得られたことを示唆していた。
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