本研究の目的は重大事件ニュースが日次POSデータに表れる消費者行動に与える影響を測定することです。消費者行動の記録を重大事件に関連した商品の売り上げと捉え、それと報道との関係について干渉分析を用いてモデル化しました。本課題では、日次POSデータを用いた一般的な重大事件ニュースの分析に関するフレームワークの構築を行いました。その具体例としてBSE問題を取り扱い、BSE問題にかかわる食料品の売り上げへの影響を、詳細な数値により効果の測定を行いました。 平成18年度の研究計画では重大事件ニュースをデータ化することに焦点をあてました。当初、精肉のデータで分析を行う予定でしたが、そのデータが欠落していることが判明し、精肉と同時に使用される商品のデータを用いました。 平成19年度の研究では、2年間の複数店舗のPOSデータを用いて、BSEに関するニュースが食品に与えた影響の干渉分析を行い、興味深い結果を得ることができました。平成20年度では、地域で個別にモデル化されていたものを、マルコフモンテカルロチェーン推定による階層ベイズ手法を用いて一つの地域内での店舗間での違いを測定しました。その結果、条件付分布を使用するこの手法は有益であることが判明しました。しかし、移動平均の項を入れたモデルでは、計算に時間がかかりすぎ、計算が不能となったモデルも存在し、問題点があることが分り、移動平均の項を含むモデルは今後の課題として残されています。
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