研究課題/領域番号 |
18510133
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
北中 英明 拓殖大学, 商学部, 教授 (20297089)
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研究分担者 |
柴 直樹 日本大学, 生産工学部・マネジメント工学科, 准教授 (50226164)
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キーワード | 新製品開発 / エージェント・アプローチ / マーケティング / シミュレーション / 市場メカニズム / クチコミ / 宣伝広告 |
研究概要 |
本研究の目的は、新製品開発・導入戦略に焦点をあて、新しい研究手法としてさまざまな研究領域において近年注目を集めている構成的手法(エージェント・ベース・アプローチ)を用いて、新製品導入時の企業のマーケティング戦略と市場メカニズムについての研究を行うことである。研究計画の二年度にあたる今年度は、研究計画全体の基礎部分としての昨年度の研究の成果を踏まえた上でそれを発展・充実させることを中心に取り組んできた。 新製品が市場において普及していく際の当該新製品に関する情報の伝播という観点に注目して、新製品の導入と市場メカニズムの解明を行おうというのが、昨年度から一貫している基本的スタンスである。昨年度はいわゆるロコミという現象に主に焦点を絞った分析とシミュレーション・モデルの構築を行ってきたが、今年度はそれを既存のマーケティング活動における宣伝広告活動にまで押し広げた。その上で、通常の宣伝広告活動による効果が、クチコミという現象との相乗効果によって、最終的にはどのように増幅されて伝わっていくのかといった視点から分析をおこない、その考察結果を反映させてシミュレーション・モデルを構築した。 従来から、企業経営における宣伝広告活動に関しては、その費用対効果を測定することが非常に困難であるが故に、一種のブラックボックス的なものとして、いわば手探り状態に近いかたちでの管理が行われてきた。特に、消費者間の相互作用であるクチコミによる影響と市場全体の反応については、その影響度合いの潜在的な大きさについては広く認知されつつも、市場における詳しいメカニズムを解明することはなかなか難しい状態であった。本研究で構築したシミュレーション・モデルによって、そういった局面における現象の一部を再現できたことは、その背景にある市場メカニズムを解明していく上で、その学問的な意義は大きなものであると言えるだろう。
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