研究概要 |
(1)研究代表者は準出生死滅(QBDと呼ぶ)過程の背後過程が出生死滅過程となる2重QBD過程について,定常分布の裾の漸近特性を2次元非線形問題の解として求めた。この結果より、2つの待ち行列をもつ各種のネットワークモデルの定常分布の裾の漸近特性を求めることが可能となった。例えば、ジャクソンネットワークで窓口が互いに協力するモデルの特性を調べることができた。また、この結果を拡張することにより、2つの窓口を持つ不完全情報下における最小待ち行列選択モデルの漸近特性を解明した。これらの成果を2本の論文にまとめ投稿中である。 (2)研究代表者は海外共同研究者のZwart準教授と協力し、反射型マルコフ加法過程の定常分布とその漸近特性に関する研究成果を進め、状態空間が連続の場合に漸近特性を得るための十分条件を求めた。 (3)海外共同研究者のZhao教授と2重M/G/1形式モデルの定常分布の漸近特性について共同研究を行った。このモデルは2重QBD過程のレベルや背後過程の正方向への変化が非有界な場合に拡張したものである。漸近特性求める第1歩として、このモデルを表す反射型マルコフ加法過程の推移核のFeynman-Kac変換について非負固有関数の集合を求めることができた。 (4)研究分担者の佐久間大・助教は、2つの窓口を持つ最小待ち行列選択モデルで、待ち行列長の情報が完全に使える場合について、サービス時間分布を従来の指数分布から位相型分布へ拡張し、定常分布の裾の減少率を求めた。この結果をまとめた論文を執筆中である。
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