| 研究概要 |
平成18年度の実績に基づき,平成19年度では,ソフトウェア・イー・メインテナンスの実現に向けて,数理モデルの精巧化,推定における不確かさ評価の確立,プロトタイプツールの作成を行った.
数理モデルの精巧化:先に提案したソフトウェアテストに対する環境要因を考慮した評価モデルに対して,現実的な利用目的に即した形で拡張を行った.具体的には,ソフトウェア開発で観測されるフォールトのデータ形式(時間データおよび個数データ)に対する拡張を行った.ベースとなるモデルは前年度議論したCox比例ハザードモデルと非同次ポアソン過程モデルを融合したものである.また,ソフトウェアメインテナンスのスケジューリングに関する数理モデル化も合わせて行い,その最適性に関する議論も行った.これらの技術は,実際のソフトウェア評価はもちろんのこと,イー・メインテナンスにおける最適設計に応用することが可能である.
不確かさ評価の確立:ソフトウェア信頼性評価における推定自身の不確実性を評価するための手法の確立を行った.ここではベイズ手法と事後分布評価に対する変分法の適用を行った.提案する評価アルゴリズムは従来のサンプリングに基づいた手法よりも,高速に評価を行うことが可能である.このような不確実性を考慮した評価は,本プロジェクトが対象とするオープンな開発環境における信頼性評価に大きく貢献するものと考えられる.
プロトタイプツールの作成:基礎のモデルとなる非同次ポアソン過程モデルとそれを環境要因と融合したモデルを用いて実際のデータから評価を行うツール(プロトタイプ)の開発を行った.実装はJavaで行い,将来的にはWebアプレットによる実装から,インターネットを介したイー・メインテナンスに対する統合アプリケーションへと発展させる.
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