高架橋には様々なタイプが存在しているが、設計時にはその上を走る車両の応答は考慮されていない。このため、その水平方向の振動の1次モードの固有振動数で1〜2Hz程度と、車両の横振動、ロール振動の固有振動数と同程度の値を持つものも少なくなく、地震の際に高架橋の揺れが車両の応答と共振してしまう場合が考えられる。昨年度の研究で現在存在する代表的な高架橋について、文献調査を行って代表的な振動特性を把握した上で、ドライビング・シミュレータを用いた実験を行ったところ、車両の固有振動数に近い1〜2Hzの固有振動数で車両自身の応答が大きくなると共に、ドライバの生体反応からも危険度が増していることが確認された。減衰比に関してもこれが小さいと応答が大きくなることから危険度が増すことが確認されている。共振現象のおこならい低周波でも、減衰が小さいとドライバの運転にふらつきが見られることも確認され、地震時の車両側の応答を考える上で重要な測定データが何であるかが決定できた。 本年度は上記の危険なパラメータに対して被験者数を5名に増やし、車両横加速度、ステアリングトルク、車両横変位等の物理的な情報に加え、心電位、脳波、筋電位等の生体応答に注目して評価を行った。正弦波、地震波を入力して実験を行った結果、(1)生体情報の解析から、車両横加速度が増大するとドライバのストレスも増大すること。(2)車両横加速度が小さくても、不規則な変動振動はストレスの要因になること。(3)高架橋のパラメータは、固有振動数が地震波の周波数成分のピーク値を避けた値で、減衰比は大きいパラメータを持つほうが良いことが確認された。
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