1.FP型干渉センサの作製法の開発 石英光ファイバのコア中にグレーティングを書き込んで反射鏡とし、この反射鏡を2枚書き込むことでFP(ファブリーペロー)干渉センサを構成した。反射鏡の作製にまずアルゴンレーザを利用したが、第2高調波244nmの紫外光の発生に問題があり反射鏡の作製には至らなかった。そこでNd:YAGレーザの第4高調波(波長:266nm)を用い、位相マスク(中心波長:1535.5nm)によりレーザ光を干渉させ、センサの作製を試みた。また、反射スペクトルの観測にはErドープファイバに980nmの励起LDレーザ光を入射させ、1.5μm帯にASE光を発生し、センサからの反射光をスペクトラムアナライザで観測した。その結果、センサの反射スペクトル形状は理論計算に近い特性が得られた。 しかしながら、必要な反射率を得るのに30分程と長い時間を要し、またグレーティング構造による損失が大きいといった問題点があることが判明し、これらの問題点の改善を検討した。 2.歪み・温度センサの作製 歪み測定センサにおいては光ファイバの破断限界歪み率に近い、最大測定幅εmax=1%、また測定精度Δε=1×10^<-6>(測定時間:25.6ms)が得られ、ダイナミックレンジとして10^<-6>〜10^<-2>の広さの高精度センサを作製することができた。温度センサにおいてはアルミニウムパッケージの高い熱膨張率を利用することにより、最大測定幅Tmax=200℃、測定精度ΔT=0.4℃の特性を得ることができた。 3.歪み・温度計測システムの改良と動作実験 既に開発した光ファイバセンサシステムを用いて信号処理部の感度を高めることで、歪み率の測定精度Δε=1×10^<-6>(測定時間:25.6ms)での計測が可能となり、1ミクロン以下の微小変位の計測が可能となった。さらに、LD光源の出力の増大、検出器のSNの改善などを行い、より高精度化を目指した。また、多点計測の可能性の検討では、センサの構造損失、光ファイバの融着損失の影響などを考慮して、センサ数として約100点の直列接続を実現し、さらにセンサ数1000点を目指して検討を行った。さらに、距離分解能を1m以下にするなど、諸特性の改善に努めた。
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