研究概要 |
本研究の目的は、広域にわたる建造物の歪みや温度、地震の振幅などの情報を瞬時に計測して収集する新規な光ファイバセンサシステムの開発を目的として、本年度はファイバセンサの作製法の開発と歪み測定装置の改良を行い、システムの実用化を目指した。 1.FP型干渉センサの作製法の開発 光通信用の石英光ファイバのコア中に超短パルスレーザ光をポイント状に集光して周期的に屈折率の高い、長さ100μmのFBG構造のFP干渉センサを作製し、最大反射率-25dBが得られた。その特性の最適化を行い、約300℃の高温において安定動作が可能なことを確かめた。 2.建造物の歪み及び温度特性の測定実験 まず、モデル実験として金属パイプの外部に歪みと温度のファイバセンサを交互に多数設置して、配管の径と温度を変化させて、伸縮状態を計測した。その結果、歪み率測定精度5×10^<-6>、センサ位置の分解能10cm、計測距離30km以上、温度測定幅:0〜500℃が得られた。また、動的特性として振動の振幅を検出する装置を構成して、測定時間1msの高速特性が得られた。 3.センサシステムの超多点測定特性と実用性の検討 さらに、遠隔の物理量測定のためのFBG-OTDR測定装置について超多点測定の可能性を検討し、現状では同一特性のセンサで500〜1,000点、さらに改良型では10^4点以上の同時測定が可能となることが解析された。また、測定装置の簡易化とシステムの低コスト化についても検討し、現状の他の光ファイバセンサ方式と比較して極めて低コストで実用化が可能であることが示された。
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