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2006 年度 実績報告書

食に関するリスクコミュニケーションの原理の抽出と証明

研究課題

研究課題/領域番号 18510147
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

吉野 章  京都大学, 地球環境学堂, 助手 (80240331)

研究分担者 武部 隆  京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30093264)
キーワードリスクコミュニケーション / 食品安全 / 共有知識 / 事例ベース意思決定理論 / BSE
研究概要

食に関するリスクコミュニケーション研究の初年度として,以下のような課題に取り組み,一定の成果を得た。
(1)既存研究のサーベイを行った。その結果,a)その大半はこれまでの経験から得られた教訓の蓄積であること,b)あり方として,特に関係主体間の信頼にかかわる事項に注意が払われていることがわかった。
(2)我々が取り組んできたリスクコミュニケーションに関する実証的研究を再整理した。その結果,a)信頼関係が喪失したケースでは,リスクコミュニケーションの果たせる役割は限られてしまうこと,b)したがって,信頼喪失以前のリスクコミュニケーションが重要であることがわかった。
(3)リスクの性格づけによるリスク問題の整理を行った。その結果,a)リスク問題は,リスクの不確実性の程度とリスクに関する情報の非対称性の程度の2次元で4つに類型化できること,b)各類型ごとに,求められるリスクコミュニケーションが異なることが分かった。
(4)情報の非対称性が著しい場合のリスクコミュニケーションの役割について,共有知識(common knowledge)の理論を用いて検討した。その結果,a)関係主体が持つ各々の懸念を共有知識にすることにこそ,リスクコミュニケーションの最大役割があることを示した。
(5)不確実性の程度が著しく高い場合の意思決定の理論化について,Gilboaら(2001)の事例ベース意思決定理論(CBDT)のサーベイや援用などを行った。その結果,a)CBDTは,リスクの確率分布が不自然な状況では,説得的な意思決定モデルを与えること,b)しかし,実証手段としては,データ収集が困難で工夫を要することがわかった。
(6)一般消費者(日米英)に対して,BSE問題に関する調査およびモニター調査を行った。その結果,a)一般の消費者は,通説で言われるほどゼロリスクに固執しておらず,冷静であること,b)リスクコミュニケーションに対してはほとんど関心がないことなどがわかった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] BSEに関する対消費者リスクコミュニケーション2006

    • 著者名/発表者名
      吉野章, 中島有紀子, 南口晶平, 山根史博, 竹下広宣
    • 雑誌名

      日本農業経済学会論文集 2006年度版

      ページ: 166-173

  • [雑誌論文] Difficulty in Restoring Public Confidence in Risk Communication -Japan's Experiences of BSE-2006

    • 著者名/発表者名
      Yoshino, A., T.Takebe, H.Takeshita
    • 雑誌名

      The 3rd World Congress of Environmental and Resource Economists (CD-ROM所収)

  • [雑誌論文] An Attempt at Integrated Environmental Governance2006

    • 著者名/発表者名
      Takebe, Takashi
    • 雑誌名

      The Natural Resource Economic Review, Kyoto University No. 12

      ページ: 1-15

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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