研究概要 |
平成20年度は1脚について3自由度を有する多関節形6足歩行ロボットおよび半円弧形状の1リンクからなる6足歩行ロボットの脚角度センサが故障等で使用できなくなった場合に歩行を実現する手法について検討を行った。この問題は,地雷原の極限環境下でロボットが故障等をした場合に自力で修復作業ができる場所まで戻ってくることを想定している。平成20年度は第1段階として3リンク(旋回部,腿部,脛部)からなる脚関節において胴体の自重を支えるのに重要な腿部リンクの角度センサ情報が得られない場合に報告者が構築した数学モデルを用いて腿部リンクの角度および角速度を推定するオブザーバをカルマンフィルタで推定し,平成19年度に有効性を確認した最適サーボ系でロボット胴体の姿勢を制御する手法で歩行できるかどうかを検討した。最初に3脚支持,4脚支持および5脚支持歩行におけるオブザーバを構築するのに必要な可観測性について検討した。その結果,オブザーバの構成には,3脚支持歩行では6脚とも腿部角度センサレスでも可,4脚支持歩行では支持脚のうち3脚がセンサレスで可,5脚支持歩行でも支持脚の3脚が形作る三角形にロボット胴体の重心の投影点が存在する3脚がセンサレスで可能となることが示された。この結果を踏まえ,コンピュータ上に構築した6脚歩行ロボットを用い,3脚支持歩行について歩行できるかどうか検討を行った。その結果,整地で6脚の腿部角度センサの情報なしに3脚支持歩行できることを示した。次に1リンクの脚からなる6足歩行ロボットについて述べる。1リンクの脚からなる6足歩行ロボットについても多関節形と同様に歩行ロボットの数学モデルを導出し,オブザーバが構成できるかどうか検討した。多関節形と同様にオブザーバの構成は可能であることは示された。現在,実験により提案する手法の有効性を検証中である。
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