研究概要 |
前年度に引き続き, 1924年1月15日に神奈川県西部で起きたマグニチュード7.3の地震(丹沢地震)による地震動を検討した. 今年度は, 当時の震度観測点における地震動を推定し, さらに計測震度を算出した. 算出した値と報告されている震度と比較し, 震源モデルおよび計算方法の妥当性を示した. 地震動予測に当たっては, 観測点の地下構造を推定し, さらに非線形効果を等価線形として扱った. これまでの検討により, 丹沢地震による首都圏の地震動の概要は明確になったと考えている. 一昨年度から検討していた, 今村式2倍強震計による飽和した記録の処理については, 飽和のモデルについて再検討を行った. 記録の飽和は記録針部分が減衰装置に衝突するために生じるが, 数値的検討においてはこの衝突をバネとダッシュポットでモデル化している. これまでは, バネとダッシュポットの係数は比較的少ない数の試行錯誤から定めていたが, 試行錯誤を系統的に行い, より尤もらしい値を求めた. その結果は, これまで使用していた値と大きく違わなかった. また,数値実験上では, 飽和した記録の復元は適切に行われることを再確認した. 地震動記録をアーカイブ化し, 公表するにあたり, 地震記象の処理方法を文章としてまとめた. 具体的には, 選択した地震のリスト, すす描きの記象からの数値化方法, 円弧補正の内容, 地震計の特性などを整理した. また, 同一地震を2つの地震計で観測したものについては, 両者が対応することを示した.
|