研究課題
基盤研究(C)
私たちは、これまで過去の南海地震の活動履歴を明らかにすることを目的として、西南日本太平洋沿岸域で津波堆積物の研究を行ってきた。特に高知県須崎市のただす池では、1300年前から4500年前までの過去3200年間に約14回の津波および地盤沈降によって示される地震イベントを確認している。また九州東部の大分県佐伯市米水津龍神池では、過去3500年間に8回の顕著な津波イベントを確認することができた。これらの研究から、南海地震には規模の大きなものと小さなものが存在し、巨大型の南海地震は350年程度に1回発生していることが明らかになってきた。本研究の目的は四国・九州太平洋沿岸域の堆積物中に記録された過去の南海地震の痕跡を明らかにし、ただす池や龍神池で得られた結果と対比・検討することにより、より精度の高い南海地震の活動履歴を明らかにすることにある。平成18年度については高知県土佐市蟹ヶ他にて津波堆積物の調査を行った。バイブロコアリングによって2m程度の試料を4本採取し対比するとともに17試料について年代測定を行った。その結果、ここでは過去2000年間に少なくとも3回の津波記録を確認することができた。まだ空間的にも深度的にも調査は十分とはいえないが、ただす池で確認することの出来なかった過去1000年間の記録が得られたことは大きな成果であるといえる。また、九州の龍神他においても調査を進め、ここでも3本のコア試料の17試料について年代測定を行った。その結果、龍神池での津波イベントはただす池のイベントの発生時期とほぼ一致していることを確かめることができた。津波堆積物の研究では、何よりも精度のよい年代測定を数多く行うことが必要であり、本研究の経費のほとんどは炭素14年代測定のために使用した。
すべて 2006
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Eos Trans. AGU (Fall Meet. Suppl., Abstract) 87(52)
ページ: OS43C-0660